普及進まず「既存住宅インスペクション」

今年4月の宅地建物取引業法の改正により、中古住宅の売買の仲介をするときに、不動産業者に、国は売主買主に対して「建物状況調査(インスペクショ
ン)」の制度について説明し、必要に応じて建築士など専門家を紹介することを義務づけました。
しかしながら、法改正後半年以上たっても、建物状況調査の普及率は1%に満たないそうです。(日本経済新聞12/1付「真相深層」)
実施費用は、5万円から高くても10万円弱ですが、売主にとっては、もし、調査の結果、構造等の不具合などが見つかったときには物件の価値が落ちてしまう可能性があり、実施したからといっても、高く売れる保証があるわけでもないので、説明しても見送る方がほとんどです。
買主にとっては、建物状況調査を実施しているか、あるいは実施予定があるかは購入判断をするに当たっての安心材料にはなりますが、そもそも購入前に自らその費用を負担してまで調査することは、買主としては心理的なハードルが高いこと(調査の結果、購入できない場合は、かかる費用が損したような気持ちになる)や売主の協力が得られない場合もあることから、どうしてもこの物件でないとといった、相当強い購入意欲がない限り、契約前に買主側の負担で実施することもないのが現状です。
もちろん仲介の不動産会社にとっても、手間がかかるだけで、直接的な収益アップに繋がるわけでもないので、積極的にすすめるメリットもありません。
国がもしこの制度を本気で普及させたいのであれば、中古住宅の売却時に売主に建物状況調査(インスペクション)の実施を法令で義務づけるしかないでしょう。